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翻刻
【柱】古今巻九 〇十
べからずといひやりたりけり番多年の召人にて
今日切らるべし〳〵といひて十余年に及けれども
かたう人壱人もなければ申なだむるものなしたま〳〵
かゝる縁(ゑん)出来事はいか計かはうれしかるべきに番がいひ
けるは弓/箭(や)とる身のかゝるめに相て召籠(めしこめ)に預る恥(はじ)にて
あらずさこそ無縁(むゑん)の者なれ共あながちに其ぬしこひねがふ
べき聟にあらずとて返事にいひけるはよろこびて奉(うけたまわり)ぬ
誠に傍輩(はうばひ)として申承らん事本意候したしくならせ給
のよしの事存知がたく候番はひとり身の物にて候へば御
ゆかりに成参らすべき事候はずとあらゝかにいひたり