← 前のページ
ページ 599 / 1317
次のページ →
翻刻
ければ貞綱(さたつな)太刀をぬきて打はらひて玉寿を引立て
後苑へしりぞきて桧垣(ひがき)より隣へこして我身も共に
逃にけり其事世に聞えて強盗に逃(にけ)たるわろしなど
さたしけるを貞綱かへり聞て今より後成共強盗に
あひて命うしなふまじ幾度(いくたひ)も君の御大事にこそ
命をはおしむまじけれといひけるにあはせて和田左
衛門尉/義盛(よしもり)が合戦の時/昼(ひる)は紅のほろをかけて黒き
馬に乗(のり)夜るは白きほろをかけて葦毛(あしけ)の馬に乗て
軍(いくさ)のさきをかけける誠に一人当千とぞ見へける日来
の詞(ことは)に合てゆゝしくぞ侍りけるつゐに組合者なかり
【柱】古今巻九 〇十二