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なかりける事也【347】頼光(よりみつ)朝臣の郎等/季(すへ)武が従者(ずざ)究竟(くきやう)
の物有けり季武第一の手きゝにてさげはりをもはづ
さず射ける物也けり件の従者(ずざ)季武にいひけるはさげ
はりを射給ふ共此男が三段計のきておちたらんをは
え射給はじといひけるを季武やすからぬ事いふやつ
かなと思ひてあらがひてげり若(もし)射はづしぬる物ならは
汝がほしく思はん物を所望にしたがひてあたふべしと
定めておのれはいかにといへば是は命を参らするうへは
といへばさいはれたりとてさらばとて立(たて)といへば此男
いひつるがことく三段のきて立たり季武はづすまし
【柱】古今巻九 〇十四