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翻刻
【柱】古今巻十 〇九
堪(かん)の仁に負(まけ)なば尚本意なかるべしと思ひけりかく
て久清北野の宿所にて出立の程に僧壱人来りて
申べき事有といひけれ共/競(けい)馬の乗尻は其日は殊
に物/忌(いみ)をして法師なとにはあはぬ事にて下人共
聞入ざりけり此僧あながちにいひければ久清に告(つげ)て
けり久清やうこそあるらめと思ひて出あひて尋け
れは僧がいふやう過ぬる夜の夢に此馬場にて
賀茂の神人とおほしくて馬場/末(すへ)によこさまに
縄(なは)を引て勝負の鉾(ほこ)などをさばくりつるを夢の
心ちにあやしみ尋れば院の右之先生の勝負のれう