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翻刻
【柱】古今巻十 〇十五
勝負を決(けつ)せす公保(きんやす)常時(つねとき)聞て奇異(きい)の事也かく
計の相撲/声(こゑ)を出して勝負せざる事いまだ聞ざる
事也世の人/推(すい)することの侍けるとかや此事は後一条
院の御時の事にや【374】相撲の節に久光(ひさみつ)といふ相撲
爪(つめ)をながくおふして敵(てき)をかきけるに常世(つねよ)に合られ
たりけるに常世一両度/顔(かほ)の程をかゝれて後久光が
頭(かしら)をづめてせめたりけるに久光/悶絶(もんぜつ)しけり相はなれ
て今より後はかゝることせじとぞいひける其後あへ
て近付ざりけり左大将しきりに近付て勝負
をすへきよしいはれけれ共猶近付ざりけり然ら