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年いくばくならず年比出家の志(こゝろさし)あれども一日の斎(とき)
料(りやう)のたくはへなし是に思ひわづらひつる也此二十貫
の銭を持て斎料にして念仏申て後生たすからん
と思ふ也とし比の志わするべからずいとひ給はん迄は
時々は参りて見奉るへし又やれ衣きよむることなど
はとふらひ給へかしといへば妻返々目出たく思ひ
とり給ひたる誠に此世はつねならねば左様に思ひ
とりたまへる事わがためもうれしき事也とてゆるし
てげれば悦て則出家をとげて廿貫の銭を先十
貫もちて四条町にいたりぬある小家に至りて云
【上欄書入れ】8
【柱】古今巻十二 〇六