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翻刻
念仏の功(こう)つもりて運心(うんしん)としをおくりければ在地(ざいち)の者
共たうとみてかつは夢なども見たりけるにや面〳〵
に帰依(きゑ)してけふの斎料をばわれさたせん〳〵とあら
そひ結縁(けちえん)しければ預けたりつる両所の十貫銭
もこと〴〵くもいらず家のあるじの所得(しよとく)に成にけり
かくて往生の期(ご)ちかく成にければ兼(かね)て其/期(ご)を知(しり)
て仁和寺の妻が家に行向ひていとなやむ事も
なくして正念に住して高声(かうせう)念仏おこたらず端(たん)
坐(ざ)合掌(がつしやう)して終(をは)りけり善知織(せんちしき)【「織」は「識」ヵ】大成(おゝいなる)因縁(いんえん)な
れば此妻はゆゝしき善知織【「織」は「識」ヵ】かなこれも阿弥陀
【上欄書入れ】9
【柱】古今巻十二 〇七