← 前のページ
ページ 775 / 1317
次のページ →
翻刻
【柱】古今巻十二 〇十一
て帰来て云やう只今の篳篥のねを承にあはれ
にたうとく候て悪心みなあらたまりぬ取(とる)所の物ども
こと〴〵くに返し奉るべしといひて皆置て出にけり
昔の盗人は又かくゆう成心も有けり
【430】又/篳篥師(ひちりきし)用光(ようくわう)南海道(なんかいどう)に発向(はつかう)の時/海賊(かいそく)にあひ
けり用光を既(すて)にころさんとする時/海賊(かいそく)に向ていはく
我久敷篳篥をもて朝(てう)につかえ世にゆるされたり今
いふかひなく賊徒(ぞくと)のために害(がひ)されんとす是/宿業(しゆくごう)のし
からしむる也しばらくの命得させよ一曲の雅声(がせい)をふかん
といへば海賊ぬける太刀をおさへてふかせけり用光