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行基菩薩(きやうぎほさつ)もろ〳〵の病(びやう)人をたすけんがために有馬(ありま)の
温泉(をんせん)にむかひ給ふに武庫山(むこのやま)の中に壱人の病者(ひやうじや)ふしたり
上人あはれみをたれてとひ給ふやう汝(なんぢ)なにゝよりてか此
山の中にふしたる病者/答(こたへ)ていはく病身(びやうしん)をたすけん
ために温泉(をんせん)へむかひ侍る筋力絶尽(きんりよくたへつき)て前途達(せんどたつ)がたく
して山中にとゞまる間/粮食(かて)あたふるものなくしてやう〳〵
日数(ひかず)ををくれりねがはくは上人あはれみをたれて身命(しんみやう)
をたすけて給へと申上人此/言葉(ことは)を聞ていよ〳〵悲歎(ひたん)
の心ふかし則/我食(わかじき)をあたへてつきそひてやしなひ
給ふに病者いはくわれあざやかなる魚肉(ぎよにく)にあらではしよく
【柱】古今巻二 〇七