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なししかれども慈悲(じひ)いたりてふかきゆへにあひ忍(しのび)て病者の
いふにしたがひて其はだえをねぶり給に舌(した)の跡(あと)紫麻(しま)金色(こんじき)
と成ぬ其仁を見れば薬師如来(やくしによらい)の御身也其時仏/告(つけて)云
我はこれ温泉行者(をんせんのぎやうじや)也上人の慈悲をこゝろみんがために
病者の身にげんじつる也とて忽然(こつねん)としてかくれ給ひぬ其
時上人/願(くはん)を発(をこ)して堂舎(だうしや)を建立(こんりう)して薬師如来を安置(あんぢ)
せんと願し其/跡(あと)を崇(あがめん)と思ふ必/勝地(せうち)をしめせとて東に
むかひて木葉(このは)をなげ給《割書:正良|の木》すなはち其木葉の落(をつ)る所
を其所とさだめて今の昆陽寺(こやじ)を建(たて)給つ【へ?】る也/畿内(きない)
に四十九院を立給へるその一也/天平(てんへい)勝宝(せうほう)元年二月に
【柱】古今巻二 〇八