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翻刻
たるぞあけ給へといへば十郎何心もなく小袖
打かけ烏帽子(ゑほうし)引入て其用意もなくて出たり
小殿ふところより鞦(しりがい)を取出し是あつけ参らせん
只今外へ罷通にといふ十郎/鞦(しりがい)を取ていづこなり
ける鞦ぞと問ば夜部(よべ)あそびをしてまうけたる也と
答て通りなんとしけるを十郎さるにても入給へ
酒すゝめんといへばよき事と思ひて内へ入ぬ見
れれば又男もなし女の独(ひとり)有つるをば酒たづねに
やりてたゞはしりむかひ居たり案じすましたる
事なればむかひざまにおとりかゝりていだきてけり
【上欄書入れ】29
【柱】古今巻十二 〇二十六