← 前のページ
ページ 962 / 1317
次のページ →
翻刻
さいぼう一つ讃岐(さぬき)わらざ一枚を持ていそぎさきたち
て待所に此男案のごとく池をわたりて中島に来て
くゐをうたんとす其時木のうへよりさぬきわらざを
なげをとしたりければ此男すこし立しりぞきて三
帰(き)を唱(とな)へてゐたる所に重(かさね)てさいぼうをなげおとし
たりければ池になげ入られて水音たかゝりけるにおど
ろきまどひてたをれふためきてにげにけり傍輩(はうばい)共
しおほせて木よりおりてさりげなしにて待【「待」は書陵部本「侍」】に帰り
ゐたる所に此男あをざめて出来たりけりいかにと問
ければ一番からかさ成物おちきつれば命にまさる
【上欄書入れ】6
【柱】古今巻十六 〇五