翻刻
【右丁】
葉をもおそあたへにして蚕をやさしてしゝに
休る時蚕せいの分たけ爰にて引とまりそれ
より随分念を入るといへ共存分にそたつ事あ
らし又種よりも念を入青むと其儘しゝに
あわせす大切にはき立て寒風を凌うすくして
桑のめ度々あたへ湿気をいとひ休前には切桑せめあ
たへ蚕をこやしてしゞに休る時はそれより念の入
次第蚕せいゆたかにそたち思の外に石とり有もの也
又世の中の大幷の人は初より終迠滞なくて上れは
石取にかまはす是をあたりとす又念者は少々滞
【左丁】
有ても蚕せいゆたかにそたち石取存分なる是をあ
たりとす又蚕の厚養麦の厚種に似たりあつ蒔
の麦は初より手入仕かけを随分尽すといへともから
ほそく穂もちいさくてみのりよしといへ共石取すく
なし又うすく蒔たる麦は初より手入しかけをよく
すれはからふとく穂も大きく石とり有もの也蚕も
其ことく初より薄養にして念を入る時は蚕せい大
きく石取存分にて貫目糸目も思ひの外に有もの也
又初より厚養は随分念を入桑沢山あたゆるといへとも
繭ちいさくて石取随分あらじたとひまゆの升数
有といへとも貫目かるく糸目も格別ふそく【不足】成もの也