翻刻
調へはたとはゝ十枚調るを七枚か八枚たゝしき上種を
とゝのへて五六七月は二三枚つゝとちて篠のたくいにつ
らぬきほこりかゝらさるやうに継(つき)紙を以ておほひた
はこのうるをひはいふに不及一切のにほひなき火の
ほのふつよからぬ所にかけ置へし八月彼岸過には
一つによせ紙袋に入て春(はる)迄置へし日あたりの壁付に
置へからすはやく出るもの也早出の蚕はいまた寒風
つよきゆへに補に誤あるもの也よく〳〵しゆれんして後は
はやくも出すへし春の彼岸過には袋より取出し
夏のことくに置へし種に蛭の小便多くかゝりた
るをは春土用入口時分水へひたししばらく置て
そゝきおとすへし蛭の小便は桑のあく也蚕の毒と
知へし
第三蚕可出前煤はく事《割書:并|》禁物
煤はく日は早朝より終日迄かゝりて家中にすゝこみ
共に一切なきやうにはき出すへし羽虫はふるきこみ
の中朽木なとの中よりわき出るかと見へたり
竹舟時分羽虫 押領(をうりやう)する時には蚕の数五六分一くふて
一時に喰されは目には見へすしねん〳〵日数廿日もくふ
羽虫は蚕の敵也能々心つくへし鼠は猫なくて押
領せり鼠の防(ふせき)たんれんなる人あるもの也其人に