翻刻
【右帖】
前之ことくにして又九ツ時分取出しはまへうつしうすく
ひろけ桑のめあたへへし又残をはくへし但し暖気
なる時は炭の火を置に不及前にはきたる蚕二日め
より四ツ前にも取出し桑のめ二度もあたへへし惣して
此教は初より終迠蚕に不順なる陽気を補術也蚕陽
気の時は可有やうにすへし去なから暖かなる夜も明方より
日の出時分迠はしみ有もの也紙帳の内に寝す共夜明前
には炭の火おこすへしはき立三日め時分にはいろ
りの近所よりたなをゆいはた【はま?】にふたをして上置煙り
たゝさる薪をたきて蚕うらをかわかすへし紙帳の内に
ばかり置てはつり込に逢て蚕くるしめるものなり
是は竹おき迠同断紙帳の蚕出したる時は近所にて
【左帖】
たはこのむへからす又寒風ある時は紙帳のうに小葉養
のわくたなを立てさし置暑くなくぬるくなく人
肌のこゝちに炭の火にて補べし扨又はき立て二日め迠
は寒き時は一食にてもくるしからす三日めより桑のめ二
度も三度もあたへへし度ことに蚕うらを切ひろけへし
蚕の秘密しゞ前にとゝまれり只うす〳〵【うすく】するにしくはなし
桑のめ五六粒ならふ所に蚕一疋位置て有のまゝに桑のめ喰
すれは耕作のうす種初よりふとくそたち穂の大きなるかことく
末迠つのりて蚕殊外そたつもの也蚕に桑のめはお
さな子に乳をのまするかことし二里三里わたりても取て
可_レ休二三日前迠はあたへへし扨又其時分日々に雨ふる事有
其時はあたらしきしやうきに桑のめをひろけ紙を
ふたにしてたなへ上ケ置度々上を下へ返しよく〳〵