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コレクション: 養蚕の書

蚕養育手鑑 - 翻刻

蚕養育手鑑 - ページ 30

ページ: 30

翻刻

【右帖】 付へし此時桑あたへずして暑にあたりたる蚕はみな滅 る也休の前後共に桑はすきをあらせすせめ付へし此時の 桑は炎天(えんてん)の暑気甚敷時家内に居ても外に居ても 凌かたき事有其折節冷なる水を呑がことし戸しやうし をはつして風を入るは扇うちわにてあをくと同前なり 蚕生長しての補此所が第一也必々油断有へからす又休前 北風大分吹て寒き事有其時は北をとちふさきたき火 をつよくして家内を暖にすへし又休付て後寒く有は それとてもいよ〳〵暖にして一旦に起し起ると早速桑付へし 桑付には雨桑しなひ桑大きに悪しはやし立もき立を 以二三度程はせめあたへへし種を出す人は此桑付より桑を ゑらぶべしこさとも里近所に林の有所吹かけ小麦 畠(はたけ)の廻り地くほの風あたらさる場所雨桑土の付た 【左帖】 る桑是等の桑を忌へし扨又舟の休は蚕の大難也さる によつて世間の蚕大方此時に多分定るもの也よく〳〵 心つくへし 物語に云三年以前宝永年来寅の年の事なるに蚕はき 立時分にはことの外寒しけれ共世の中の人々しゆれんの故か 大分繁昌にて舟蚕の時分には桑の直段金壱歩に四束 うり買ける然所に五月十日十一日のわるいきれ故蚕 悉くふそくに成後には桑に直段なし雖_レ然有村に蚕 しゆれんの人有て其いきれを心得家内にて火をたかす 戸障子をはつし風そよがさる蚕棚へ唐箕(とうみ)にて風を入 右の三日を補けり扨又近所 合壁(かつへき)親類の方へは我は如此 する也心付け給へといひける心得たりとて我も〳〵と 補へは村中不残是を学ひけるさるによつて蚕殊外