翻刻
【右丁】
盆辺零飯(ほんへんれいはん) 膳(せん)にこほれたるめし
歯中残飯(しちうさんはん) はのあいたにのこりたるめし
飧飯(そんはん) みづゝけめし ゆつけめし
大和本草(やまとほんさう)に飧飯(そんはん)はゆつけめし水つけめし也と云り
荷葉焼飯(かやうせうはん)
本朝食鑑(ほんてうしよくくはん)に《振り仮名:用_二新荷葉_一|しんかやうをもつて》《振り仮名:褁_レ飯|はんをつゝみ》蒸熟而(むししゆくして)食(くろふ)と云り発明(はつめい)に
李杲(りかう)曰(いはく)張潔古(てうけつこ)枳朮丸(きしゆつくはん)《振り仮名:用_二荷葉_一|かやうをもつて》《振り仮名:裹_二焼飯_一|せうはんをつゝみ》《振り仮名:為_レ丸|くわんとなす》と《割書:云| 々》はす
めしといふ物あり荷葉(かやう)の嫩葉(わかは)を刻(きさ)み米(こめ)に雑(ましへ)飯(はん)となす又 荷(はす)
葉の乾(ほした)たる【「た」重複ヵ】を煎(せん)し其 汁(しる)にて米を炊(たき)たるものあり
《振り仮名:青精乾石■飯|せい〳〵けんせきしんはん》【■は食+辺・𩛓ヵ䭀ヵ】 なんてんめし うめいひ
【左丁】
南燭(なんてん)の葉の汁(しる)にて炊(かしき)たる飯(はん)なり造法集解(さうほうしうかい)に詳(つまひらか)なり時珍(しちん)入(いれ)【二点脱ヵ】
柿葉(しやう)《割書:かき|のは》白楊(はくやう)《割書:やな|き》葉 数十枚(すしまいを)_一以(もつて)《振り仮名:助_レ色|いろをたすく》と云り又 粳米(かうへい)を南天(なんてん)の汁に浸
し九度(こゝのたひ)蒸(む)し九度 曝(かはか)す時は米 痩(やせ)て胡麻(こま)の如しと是(これ)を用ゆる
時 水(みつ)に泡(ひた)すれは飯(はん)となり持屓(もちおふい)【負ヵ】又 遠方(ゑんはう)に適(ゆく)に利(り)ありといへり
粥(しく) しるがゆ《割書:和名|鈔》 かゆ
かゆのこき物を饘(せん)《割書:時|珍》うすき物を酏(い)《割書:同|上》といへり本朝食鑑(ほんてうく[し]よくかん)に生米(せいへいの)
粥者(かゆは)味(あしはい)濃而(こくして)美(ひなり)飯粥者(はんのかゆは)味(あしわひ)淡而(うすくして)好(よし)《振り仮名:磨_レ米|こめをまし》《振り仮名:為_二麤末_一|そまつとなし》《振り仮名:如_レ糒|ひのことし》煮熟(にしゆくし)
《振り仮名:作_レ粥|かゆにつくる》此(これ)俗(そくに)《振り仮名:称_二割粥_一|わりかゆとせうす》《振り仮名:用_二米及飯_一|こめおよひはんをもつて》煮熟(にしゆくして)《振り仮名:為_レ粥|かゆとなす》呼(よんて)《振り仮名:称_二円粥_一|まるかゆとせうす》といへり
本邦 七種(なゝくさ)の粥(かゆ)は延喜式(ゑんきしき)並に公事根源(くしこんけん)に見ゆ其品(そのしな)芹(きん)《割書:せ|り》薺(せい)
《割書:なつ|な》鼠麹草(そきくさう)《割書:こきや|う》鶏腸草(けいてうさう)《割書:たひら|こ》元宝草(けんほうさう)《割書:ほとけ|のさ》蕪菁(ふせい)《割書:すゝ|な》莱菔(らいふく)《割書:すゝ|しろ》
【二十三行四字目~「鶏腸草」の割書「たひらこ(たびらこ)」は春の七草の「ほとけのざ」(確認資料:『広辞苑(第七版)』(岩波書店)「田平子」の項)。「鶏腸」は春の七草の「はこべ(はこべら)」(確認資料:『角川俳句大歳時記』(電子辞書)(角川学芸出版)2013年「はこべ」の項)。】