翻刻
【右丁】
み【「み」重複ヵ】花を付る蔵器(さうき)説は其土地(そのとち)により小麦(こむき)の粉又 粳米粉(かうへいふん)にても
作る時珍(しちん)の説は米(こめ)と麦(むき)とを和(くわ)し作る文(ふん)に米麦粉(へいはくふん)とあり皆
黄花(わうくは)を生す茶褐色(かはいろ)のはなを生するを緑塵(りよくちん)と云此を佳(よし)と云り
麹(きく) かむたち《割書:和名|鈔》 かふじ
本邦のかうし酒(さけ)醤油(せうゆ)味噌(みそ)香物(かうのもの)諸々(もろ〳〵)物(もの)を漬(つける)に用ゆ其法 粳(かう)
米(へいを)搗(つき)こと【注①】潔白(けつはく)なるを水に浸(ひた)し甑(こしき)にて蒸(む)し木盤(はこ)に盛(も)り窯(むろ)【注②】の
中に置(おく)ときは白衣(はくい)を生するを用ゆ
小麦麹(せうはくきく)
時珍説(しちんせつ)に小麦(せうはく)を皮(かは)のまゝ水にて浄(あら)ひ晒(さら)し乾(かはか)し置(おき)たるを六
月六日に粉(こ)にし麦(むき)の洗(あら)ひ水にて和(くわ)し塊(かたま)りとなし楮葉(ちよやう)にて包(つゝみ)み【「み」重複ヵ】風
【左丁】
の吹処(ふくところ)にかけ置(お)くこと七十日を経(へ)て用ゆと云り
大麦麹(たいはくきく)
時珍(しちん)の説の造法(さうほう)小麦麹(せうはくきく)と同し
麺麹(めんきく)
時珍の説に三伏の日 小麦(こむき)の粉五斤 緑豆(りよくつ)《割書:ふんと|うまめ》五斤を蓼汁(たてのしる)にて煮
爛(たゝら)し蓼(たて)の末(まつ)五両 杏仁(きやうにん)の磨(こ)になしたる十両を和し踏(ふん)て餅(もち)となし楮(ちよ)
葉(やう)に包み風(かせ)の入る処に掛置(かけおく)花を生せしめて貯(たくは)ふ 白麹(はくきく)の造法は
小麦(こむき)の粉五斤に糯米(たへい)の粉(こ)一斗 餅(もち)となし楮葉(ちよやう)に包(つゝみ)風の入(いる)処に掛(か)け
置(お)き五十日にして用ゆと云り
米麹(へいきく)
【注① 「搗(つき)こと」は「搗(つき)て」ヵ。国立公文書館デジタルアーカイブでは「搗(つき)て」(『本草図譜巻之43・44』コマ44 https://www.digital.archives.go.jp/img/4676183)。】
【注② 窯(窑)は窩室窖窋ヵ。国立公文書館デジタルアーカイブ(注①と同)では「宀(穴ヵ)+夕(クヵ)+皿の中縦線二本無+ハ」(他にも『本草図譜. 巻25-27』コマ30、『本草図譜. 巻34-36』コマ66に同じ字が有り、国立公文書館デジタルアーカイブでは両者とも「窑」(前者:『本草図譜巻之25・26』コマ27 https://www.digital.archives.go.jp/img/4676174、後者:『本草図譜巻之35・36』コマ29 https://www.digital.archives.go.jp/img/4676179)。】
【八行七字目「白」のルビ「く」は別の字(「い」ヵ)の上から書いている】