翻刻
【右丁】
時珍(しちん)の説に糯米(たへい)の粉(こ)を蓼(たて)の汁にて和し円(まる)くなし楮葉(ちよやう)にて包
風の入る処に掛(かけ)五十日にして日晒(ひにさら)し収(おさむ)と云り又 此数十麹(このすしつきく)皆(みな)《振り仮名:可_レ入|くすりにいる》
薬(へし)其各地(そのかくち)《振り仮名:有_レ入_二諸薬草及毒草_一|しよやくさうおよひとくさうをいる〱あり》皆(みな)有毒(とくあり)【有_レ毒】惟(たゝ)《振り仮名:可_レ造_レ酒|さけにつくるへし》《振り仮名:不_レ可_レ入|くすりにいるへからす》【レ点脱・ルビは「薬」までかかる】
薬也と云り
神麹(しんきく)《割書:通|名》 くすりかうし
五月五日六月六日に製(せい)す陳久(ちんちう)【注①】なるものを良(よし)とす故に附方(ふほう)に
陳神麹(ちんしんきく)の名(な)あり薬舗(くすりや)に売(う)る物は製(せい)するに時(とき)なし又 薬物(やくふつ)の誤(あやまり)
もあり医家(いか)自(みつから)製すへし六神(ろくしん)の集(あつまる)る日に製する故(ゆへ)に神麹(しんきく)といふ
時珍(しちん)は水雲録(すいうんろく)に従(したか)ひうとんの粉百斤 青蒿(せいかう)の汁(しる)蒼耳(さうし)《割書:をな|もみ》の
汁 野蓼(やりう)【注②】《割書:いぬ|たて》の汁 赤小豆(しやくせうつ)《割書:あつ|き》の粉 杏仁泥(きやうにんてい)各三升つゝ和合(くわしあわせ)て餅(もち)となして
【左丁】
麻(あさ)の葉を掩(おほふ)て黄衣(わうい)を生するを持て日に乾(かはか)し薬用(やくやう)に入る田村
氏云 斉民要術(せいみんうやしゆつ)【注③】医塁元戎(いるいけんしう)丹渓心法(たんけいしんほう)医学入門(いかくにうもん)東医宝鑑(とういほうかん)
万民家抄(はんみんかせう)【注④】錦嚢秘録(きんのうひろく)諸症弁疑(しよせうへんき)月令広義(けつれいくわうき)等の書に神麹(しんきく)
を造(つく)る法あり製法(せいほう)参攷(さんかう)すへし
紅麹(こうきく) あかこうし とうかうし《割書:長|崎》
舶来(わたり)の物あり其色紅にして朱(しゆ)を以て染(そむ)るか如し内外(ないくわい)共に赤(あか)き物
良(よ)し鶏卵(けいらん)及ひ豆腐(とうふ)を染(そむ)へし天工開物(てんこうくわいふつ)にも造法(さうほう)あり
糵米(けつへい) もやし《割書:総|名》
集解(しうかい)に粟(こく)黍(しよ)穀(こく)麦(はく)豆(とう)諸糵(しよけつ)皆(みな)水浸(みつにひたし)脹(ふくらし)《振り仮名:侯_レ生_レ芽|めをせうするをうかゝつて》曝(さらし)乾(ほし)
《振り仮名:去_レ鬚|ひけをさり》《振り仮名:取_二其中米_一|そのなかのこめをとり》炒(いり)研(すりて)《振り仮名:用_二其功_一|そのこうをもちゆ》と此を造るには《振り仮名:浸_レ水|みつにひたし》てふくらかりたる
【注① ルビ「ちんちう」は「ちんきう」ヵ。国立公文書館デジタルアーカイブでは「ちんきう」(『本草図譜巻之43・44』コマ47 https://www.digital.archives.go.jp/img/4676183)。】
【注② ルビ「りう」は「れう」ヵ。国立公文書館デジタルアーカイブでは「れう」(注①と同・コマ44 左丁三行下から四字目)。】
【注③ ルビ「うやしゆつ」は「やうしゆつ」ヵ。「うやうしゆつ」にも見える。】
【注④ 「万民家抄」は確認できず。「万民家宝」は情報有。】
【コマ48の八行十二字目~「るを用ゆ」から当コマ八行一~二字目「陳神」までの箇所について、国立公文書館デジタルアーカイブでは、注①と同・コマ46左丁~コマ47右丁に記載有。丁が入れ替わっていると思われる。】
【十五~十六行目の書名の不明箇所について、国立公文書館デジタルアーカイブ(注②と同コマ)には記載が無いため確認できず。】