翻刻
【右丁】
惣して舟数は八万そうむくりは
四万そうにてむかひけるに一はい
ましてむかはれけるさて大臣殿の
ござ御座船をはにしきをもつてかさ
り立ともへ【船首と船尾】にいはふかみ〳〵六十
よしうのれい神たちいかき【斎垣】鳥
ゐ榊葉雲にひかりをましへ
つゝほうくは大こをそうすれは
身の毛もよたつはかり
【左丁】
う月半に大臣ははや御座船に
めされけりみたい【御台=将軍・大臣などの妻の尊称】なこりをおしみ
ておなし舟にとの給へとも思ひも
よらすとの給てをしこそとゝめ
給ひけれさて舟共のともへには
五色のへいをはき立て神風
すこしく吹けれはまゑんまかい【魔縁魔界】
もおそるへし昔のたとへを引
時は神功【「后」とあるは誤記】皇后のしんら【新羅】をせめ
させ給ひしとき神あつめして
むかはれしもかくやと思ひしられ
たりむこくに陣取むくりとも
天の色をきつと見て二さう神