翻刻
【右】
の一/符(ふ)あり因(ちなみ)にこれをしるす
■■【注】乙【3文字▢で囲む】《割書:此三字をかきて家のうちにはりおけばきはめて|はしかかろしといへり》
○群談採余(ぐんだんさいよ)といふ書に此事あるよし異国予章(ゐこくよしやう)と
いふ所の南に舟渡(ふなわたし)の所あり一人の僧(そう)来り津吏(わたしもり)にいふ
今しばらくありて黄衫(わうさん)をきたるもの五人/籠(かご)を負(おふ)て
此所に来るべしかならず是をわたすまじ若(もし)あやま
つてわたす時は禍(わざはひ)あるべしと筆(ふで)をとり此三字をした
ためわたしもりにあたへて彼等(かれら)来らば是を見す
【左】
べしと告(つげ)おはつて去(さる)はたして黄衫(わうさん)を着(き)たる五人の
もの来り直(たゞち)に舟にのりてわれ〳〵は府州県(ふしうけん)にゆく疫(ゑき)
鬼(き)なりはやく舟をわたすべしといふそのときわたし
もり件(くだん)の三字(さんじ)を取出し見すれば五人是を見て俄(にはか)に
うろたえ走逃(はしりにげ)さりしゆへわたしもり此/符(ふ)をつたへ
予章(よしやう)の家ごとにはらしめたるにそのとき江浙(かうせつ)と
いふ所/疫病瘡疹(ゑきびやうそうしん)おほくして死するもの少からず
予章の方は何事もなかりしとぞこのゆえに
【■■:「竹車龴疋」「竹厂斬】