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コレクション: 学校教材発掘プロジェクト 5 江戸名所図会

江戸名所図会 20巻 巻之13 - 翻刻

江戸名所図会 20巻 巻之13 - ページ 53

ページ: 53

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【右丁】  ざれともこゝに登(のぼ)るときは眼界(げんかい)蒼茫(さうばう)として実(じつ)に《振り仮名:駿河|するが|冨士》 《振り仮名:伊豆|いづ|天城》 《振り仮名:相模|さがみ箱根|雨降》  《振り仮名:甲斐|かひ|多波山》 《振り仮名:信濃|しなの|浅間》 《振り仮名:上野|かみつけ|吾嬬》 《振り仮名:下野|しもつけ|日光》 《振り仮名:常陸|ひたち|筑波》等(とう)の八国の遠嶂(ゑんしやう)を一望(いちばう)に覧(み)る故(ゆゑ)に  此名(このな)あり 久米川(くめかは) 粂川村(くめかはむら)の西(にし)回田村(めぐりたむら)清水村(しみづむら)等(とう)の地(ち)より発(はつ)して二条(にでう)の小流(しやうりう)野口(のくち)  村(むら)徳蔵寺(とくさうじ)の裏(うら)の方にて落会(おつあ)ひ粂川村(くめかはむら)を流(なが)る故(ゆゑ)に久米川(くめかは)と号(なつ)く  又 二瀬(ふたせ)川と号(なつ)くるものも入間郡(いるまのこほり)粂村(くめむら)秋津村(あきつむら)等(とう)の地(ち)より発(はつ)して  多麻(たま)入間(いるま)の郡境(こほりさかひ)を流(ながれ)粂川村(くめかはむら)にて落合(おちあひ)《割書:夫(それ)より一里 斗(ばかり)末(すゑ)に至(いた)りて川巾(かははゞ)漸(やうや)く|広(ひろ)く石川(いしかは)となる粂川(くめかは)より上(かみ)は谷(たに)》  《割書:川(かは)にて川 巾(はゞ)わづかに|四五 間(けん)に過(すぎ)ず》共(とも)に引又(ひきまた)新座(にゐくら)の辺(あたり)を経(へ)て末(すゑ)は荒川(あらかは)に会流(くわいりう)す正慶(しやうけい)享(きやう)  徳(とく)の昔(むかし)武蔵野(むさしの)合戦(かつせん)の時(とき)多磨川(たまかは)及(およ)び入間川(いるまかは)粂川(くめかは)等(とう)に陣営(ぢんえい)を儲(まうけ)  たりしか曠野(あれの)にして水(みづ)に乏(とも)しきが故(ゆゑ)にかく水辺(すゐへん)にたよりし事しるべし  又(また)云(いふ)堀兼(ほりかね)の井(ゐ)抔(など)よべるも古(いにしへ)水(みづ)に乏(とも)しかりしありさま思(おも)ひやるべし  《割書:回国雑記|》《割書:くめ〳〵川といふ所(ところ)はべり里(さと)の家〳〵には井(ゐ)などもはへらて|たゞ此川を汲(くみ)て朝夕(あしたいふべ)もちひはへるとなんまうしければ》    里人のくめ〳〵川とゆふくれになりなは水は氷もそ(とそせめイ)する  《割書:道興| 准后》 【左丁】 大竜山(たいりうさん)永源(えいげん)禅寺(ぜんじ) 粂村(くめむら)にあり八国山より北(きた)の方(かた)小川(をかは)の流(ながれ)を隔(へだ)てゝ  五丁 斗(ばかり)にあり曹洞派(さうとうは)の禅林(ぜんりん)にして竜谷(たつがや)竜隠寺(りうおんじ)に属(ぞく)す《割書:昔(むかし)は鎌倉(かまくら)建長(けんちやう)|寺(じ)に属(ぞく)す》  天文(てんぶん)年間(ねんかん)大石氏(おほいしうぢ)開創(かいさう)する所(ところ)の精舎(しやうじや)にして開基(かいき)大石氏(おほいしうぢ)法名(はふみやう)を  英(ゑい)■(がん)【山+品】衜俊(だうしゆん)大居士(たいこじ)と号(がうす)《割書:安松の長源寺(ちやうげんじ)は衜俊(だうしゆん)を|道春(だうしゆん)に作(つく)るは誤(あやまり)なるべし》開山(かいさん)は一種(いつしゆ)長鈍(ちやうとん)禅師(ぜんし)  と号(がうす)《割書:北条(ほうでう)氏照(うぢてる)の舎弟(しやてい)なりと云(いふ)|永禄(えいろく)八年二月廿七日 示寂(じしやく)す》本尊(ほんそん)釈尊(しやくそん)は二尺ばかりの座像(ざざう)にして  行基(ぎやうき)大士(たいし)の作(さく)なりといふ  当寺(たうじ)開基(かいき)大石氏(おほいしうぢ)霊牌(れいはい)《割書:牌面(はいめん)右(みぎ)に透岳(しやうがく)宗関(そうくわん)大居士(たいこし)中に英(ゑい)■(がん)衜俊(だうしゆん)大居士(たいこし)左(ひだり)に|直山(ちよくさん)道守(たうしゆ)菴司(あんし)とありて三人の法名(はふみやう)を注(ちゆう)したり道守(たうしゆ)は》  《割書:当寺(たうじ)鐘(かね)の銘(めい)に挙(あげ)たる大石(おほいし)遠江(とほ〳〵み)入道(にふだう)が|事なり長源寺(ちやうげんじ)の条下(でうか)と合(あは)せみるべし》  洪鐘(こうしやう)《割書:当寺(たうじ)の住持(ぢゆうぢ)雪巖(せつげん)和尚(おしやう)|土中(とちゆう)より穿出(うがちいだ)せりといふ》   武州入東郡久米郷 大竜寺永源禅寺   住持雪心叟融立 本願檀那大石遠江入道   直山道守   応永廿九季《割書:壬|丑》九月初吉日  《割書:按(あんする)に文明(ぶんめい)の頃(ころ)大石(おほいし)駿河(するか)入道(にふだう)二宮の城(しろ)に住(ぢゆう)し天文(てんぶん)の頃(ころ)上杉家(うへすぎけ)の老臣(らうしん)大石(おほいし)源左衛門尉(げんさえもんのぜう)|定重(さだしげ)戸倉(とくら)の城(しろ)に住(ぢゆう)し又 其(その)父(ちゝ)定文(さだふみ)《割書:一書定文を|定久とす》滝山(たきやま)の城(しろ)にありしなり然(しか)るに此(この)定文(さだふみ)後(のち)》