翻刻
【右丁】
給ひ時光(ときみつ)か妻(つま)に与(あた)へられし加持水(かちすゐ)なりといふ
宮本(みやもと)簸川(ひかは)大明神社(たいみやうしんのやしろ) 宮本郷(みやもとのかう)《割書:大宮駅(おほみやゑき)より|二十町程北》三室山(みむろやま)の南麓(みなみふもと)にあり
土人(とじん)宮本(みやもと)の簸川社(ひかはのやしろ)と称(とな)へ又 女体宮(によたいくう)と号(かう)す祭神(さいしん)大宮(おほみや)同体(とうたい)に
して本宮(ほんくう)大己貴命(おほあるむちのみ
こと)右(みき)素戔嗚尊(そさのをのみこと)左(ひたり)奇稲田媛命(くしいなたひめのみこと)を斎(いは)ひ祀(まつ)る当社(たうしや)山(さん)
中(ちゆう)杉()すき檜(ひのき)榊(さかき)多(おほ)く社頭(しやとう)魏然()きせんとして瑞籬(みつかき)莓(こけ)滑(なめらか)なり覡(きね)か皷(つゝみ)の音(おと)朝(あした)
の祈(いのり)夕(ゆふへ)の報賽(かへりまうし)すゝしめのこゑ山林(さんりん)にひゝきてさなから神感(しんかん)の興(きよう)
を催(もよほ)すらむといと貴(たふと)し神主(かむぬし)武笠氏(むかさうち)世々(よゝ)これを奉祀(ほうし)し社領(しやりやう)
五十石を賜(たま)ふ国初(こくしよ)の頃(ころ)嘗(かつ)て 神祖(しんそ)も神主(かむぬし)の家(いへ)に入(いら)せたまひ
神領(しんりやう)及(およ)ひ神宝等(しんほうとう)御寄附(こきふ)あらせ給ふ古器(こき)古文書等(こもんしよとう)神主(かむぬし)の
家(いへ)に伝(つた)へてこれを蔵(さう)すといふ
御沼(みぬま)《割書:旧事記に水沼に作り|又は見沼と書ことも有にや》本社(ほんしや)鳥井(とりゐ)の前(まへ)にあり当社(たうしや)の御手洗(みたらし)
にして昔(むかし)は長(なかさ)四五里はかり広(ひろさ)二十 余町(よてう)ありしとかや享保(きやうほ)十二年
に官命(くわんめい)ありて此(この)沼(ぬま)を新田(しんてん)開発(かいほつ)せしめらる今(いま)は僅(わつか)に沼(ぬま)の形(かたち)を
【左丁 絵図】
氷川宮(ひかはのみや)大門先(たいもんさき)
並木
十八丁