翻刻
鬼むすめはこれもちをいかさまにかけ
酒のさかなにせんと思ひしさん
だんがちがひついにこれもち
にうたれけるこれもせん
くわうじの仏力ゆへなり
鬼むすめはもとよりなじみのことなれば
こんはく【魂魄】すぐにぢ
ごくへ行てあまた
の鬼ともの中間入
せんとねがふといへどもぢごくも
ことのほかこんきう【困窮】にて人へらし共
でかけ たく思ふ折りから
なれば
大かまの下
はくものす
だらけ
ちのいけも
うき
くさ
だら
け
の
てい
【左ページへ】
たら
く
なり
【右ページ右下、鬼娘の台詞】
も□〳〵くしやう
□んさん【、】しや
ばからいま
きたものじや【娑婆から今来たものじゃ】
これもうし
〳〵
【本文続き】
これといふもせんくわう
じの如来のさいどし
すぎ給ふゆへ多くの
衆生みな〳〵こくらく
へすくひとり給ふゆへなれば
何とぞかの如来のさま
たげせんとおもへども
しやばのかつてをしり
たるものなしと
ひやうきばかり
してゐ
ける
【口減らし(リストラ)されそうな鬼たちの様子】
ちこくのさたも金し
だいといへどもしやばへ行
かつてはいくらでもしれず
鬼とも も二文四文の
めくりにてくらし
ける
はゝあ
よいて
の
こんど
は
大びき
とでる
そ
【めくり:めくりカルタ。当時のトランプ。またそれを使った賭け事のこと。】