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コレクション: コレクション3

九死の一生 - 翻刻

九死の一生 - ページ 16

ページ: 16

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【右】  は遺物(いぶつ)として貰受(もらひう)け之(これ)が為(た)めに感染(かんせん)して死(し)したる者其(ものその)  例少(ためいすくな)からず総(そう)じて虎列刺病(これらびやう)の大流行(おほりうかう)となるは大抵此等(たいていこれら)  の不注意(ふちゆうい)より起(おこ)るものにて實(じつ)に畏(おそ)るべきものなり今其(いまその)  要領(あらまし)す説示(ときしめ)すこと左(さ)の如(ごと)し  [一]吐瀉物取扱(としやぶつとりあつかひ)は相當(さうとう)の器(うつは)を用意(ようい)し之(これ)に消毒藥二三合(せうどくやくにさんがふ)を  入(い)れ置(お)き病者(びやうしや)の吐瀉(としや)する度毎(たひごと)に之(これ)に受(う)け屋外(いへのそと)に持出(もちだ)し  桶或(おけあるひ)は壺等(つぼとう)に移(うつ)し其器(そのうつは)は都度〳〵(つど)稀薄石炭酸水(うすきせきたんさんすい)にて洗(あら)ひ  復(ま)た前(まへ)の如(ごと)く消毒藏(せうどくやく)を入(い)れ用(よう)に共(そな)ふべしさて桶或(おけあるひ)は壺(つぼ)  に移(うつ)したるものは充分(じふぶん)に消毒藥(せいどくやく)を注(そゝ)ぎ蓋(ふた)をなして溜(た)  置(お)き一定(きまり)の場所(ばしよ)に運(はこ)び焼棄(やきす)つべし  [二] 焼棄(やきすて)の法(しかた)は其場所(そのばしよ)に相當(さうとう)の穴(あな)を掘(ほ)り其中(そのなか)に灰或(はひあるひ)は石(いし)  灰(はひ)を撒(ま)き乾(かは)きたる藁(わら)、枯草(かれくさ)、鉋屑(かんなくず)、鋸屑(のこくず)、等(とう)に石炭油(せきたんあぶら)を灌(そゝ)ぎて 【左】  穴(あな)の底(そこ)に入(い)れ其上(そのうへ)に汚穢物(よごれもの)を投込(なげこ)み再(ふたゝ)び藁(わら)、枯草(かれくさ)等(とう)を覆(おほ)  ひ火(ひ)を點(とも)して焼棄(やきす)つべし火勢減(くはせいげん)ずれば更(さら)に油(あぶら)を注(そゝ)ぎて  掻交(かきま)ぜ全(まつた)く焼盡(やきつく)して灰燼(はひ)となる様(やう)にすべし  [三]病人(びやうにん)の通(かよ)ひたる便所(べんじよ)は消毒藥(せうどくやく)を注(そゝ)ぎ斟取(くみと)りて前(まへ)如(ごと)  く焼棄(やきす)て其跡(そのあと)をよく〳〵掃除(さうじ)し其他病者(そのたびょうした)の吐瀉物(としやぶつ)を投入(なげい)  るゝことなき便所(べんじよ)も同(おな)じく防臭藥(ばうしうやく)を濯(そゝ)ぐべし木綿切衣(もめんきれい)  服夜具等総(ふくやぐとうすべ)て病人(びやうにん)に觸(ふ)れて汚(よご)れたるものは決(けつ)して健康(けんかう)  なる人(ひと)に觸(ふ)れしめず充分(じふぶん)に消毒藥(せうどくやく)を行(おこな)ひ襦袢手拭等價(じゆばんてぬぐひとう ね)  の貴(たか)からざるもの又(また)は口(くち)を拭(ぬぐ)ひたる紙屑涎(かみくずよだれ)の染(し)みたる  枕紙(まくらがみ)などまででも取(と)り落(おと)しなく都(すべ)て焼棄(やきすつ)るを良(よし)とす僅(わづか)の  品(しな)を惜(おし)みて焼(や)きすてず之(これ)が為(た)め其毒(そのどく)に感(かん)じ發病(はつびやう)して死(し)  したる者澤山之(もの たくさんこ)れあり戒(いまし)むべき事(こと)なり