翻刻
昔(むかし)唐(もろこし)の梁(りやう)の恵王(けいわう)美味(びみ)珍膳(ちんぜん)を好(この)み
給(たま)ひ烹割(にやきのこと)を執(と)る包子(はうし)に命(めい)じて肉(にく)を
烹割(にやき)に工風(くふう)をさせ給ひける其(その)塩梅(あんばい)の妙(めう)
なりければ料理(れうり)の事(こと)に委(くは)しきを包丁(はうてう)
と渾名(あだな)せしを后(のち)は刃物(はもの)の唱(となへ)となりしは和漢(わかん)普(ふ)
通(つう)の俗称(ぞくせう)なりと粗(ほゞ)荘子(そうし)にも見(み)えたり
とそ星霜(せいさう)移(うつ)りて今(いま)の世(よ)に珍奇(ちんき)を愛(めづ)る