翻刻
新聞圖會 《割書:第八| 号》
小信改二代
貞 信 画
八尾善板
盲人蛇(めくらへび)におぢすと
いふ諺(ことはざ)にあらで盗賊にも
屈(くつ)せざる大丈夫はヒン〳〵【貧々か】菴
と号し三味の曲弾に名を
得し人にして通称(つうしやう)生久卜
一郎当四月十一日玉江橋
北詰にて三人の賊車前を
ふさき既に衣服を奪(はぐ)へき
の所卜一一言を発して予が
如き貧民(ひんみん)の衣服売代なすともいさゝかの価
なるべし今我衣服を奪ふをゆるせば吾活業(わがなりはひ)たる
一曲を汝等(なんぢら)が耳に施べしと流石(さすが)の暴徒理言に伏し
奥ある事と思ひしにや軈(やが)て調らべを乞けるにぞ得手の
練(れん)曲 弾(だん)じければ其妙音にや感じたりけん手を空(むなしく)して
かへる而已(のみ)かは円貨廿銭を卜一に与へ去しとぞ
正情道九化記