翻刻
【上】
楽善堂三薬(らくぜんどうさんやく)
鎮溜飲(ちんりうゐん)
りうゐんの妙薬(くすり)なり胸(むね)
つかへ腹(はら)はり腰(こし)いたみ気(き)
ふさぎ食物(しょくもつ)すゝまず常(つね)にむか〳〵として
嘔気(はきけ)を催(もよほ)す等(など)に用(もち)ゐて大によし
○穏通丸
つうじの薬(くすり)なり逆上(のぼせ)を引下(ひきさげ)
毒(どく)を下(くだ)すの功(こう)あり頭痛(づつう)めまひ
耳(みみ)なり歯痛(はいた)み腹(はら)はり胸(むな)ぐるしき等(とう)に用(もちゐ)て尤(もっと)も妙(みやう)なり
○補養丸
精根(せいこん)を補(おぎ)なひ元気(げんき)を養(やしな)ふ
の良剤(くすり)なり病後産後(びょうごさんご)の
弱(よわ)りまたは生付(うまれつき)よわく魂気(こんき)うすき人に用(もち)
ゆれば血(ち)の巡(めぐ)りを能(よく)し身体(からだ)を丈夫(じょうぶ)にするの
功(こう)あり
東京銀座 岸田吟香拝告
【右】
何(いづ)れも用(もち)ゐかた功能とも
各々その薬(くすり)の包紙(つゝみかみ)に委(くわ)
しく記(しる)し置申候
此ほか養生(ようじょう)食
品いろ〳〵水すまし
薬等私方にて売
弘め申候
【左】
《割書:目|薬》精錡水(せいきすい) 《割書:東京銀座| 岸田吟香製》
此御めぐすりは西洋(せいやう)の大医(たいい)より
直伝(ぢきでん)の名法(めいほふ)にして古今無類(ここんむるゐ)の
妙薬(みやうやく)なれば功能(こうのう)の著明(あらた)なることは
諸人(しょにん)の知(し)る処(ところ)なり
○血(ち)め○たゞれめ○のぼせめ○
やみ目○むしめ○目ぼし○其他(そのほか)一切の眼病(がんびやう)《割書:に|よし》
近頃(ちかごろ)諸方(しょはう)に疑似(まぎらは)しき類薬(るゐやく)あまた出来(しゅったい)候間
私方の記号(しるし)よく〳〵御糺(おんたゞ)しの上 御求(おんもと)め可下候
【下】
三薬(さんやく)精錡水(せいきすい)とも取次(とりつぎ)売弘(うりひろ)め被成たき
御方は私方へ御申 越(こ)し被下候ハヾ受売方(うけうりかた)
薬数(やくすう)割合(わりあひ)等(とう)の書類(しよるい)早々御 届(とど)け可
申上候但シ三薬の儀は 実(じつ)に諸人(しょにん)の助(たす)け
とも相成るべき霊薬(れいやく)に付 盛大(せいだい)に売(う)り
弘(ひろ)め度奉存候間取次の御方江は
多分(たぶん)の御利潤(ごりじゅん)に相成候様 下直(けじき)に
卸(おろ)シ差上可申奉存候何卒多少に
不限 御注文(ごちうもん)奉願上候以上
銀座二町目壱番地
東京 岸田吟香 敬白
鮮斎
永濯