翻刻
【タイトル】
日々新聞
【紙面右下】
小信改二代
貞信画
空(そら)寝入(ねいり)を狸(たぬき)といひ年増(としま)
女郎(をんな)を古狸(ふるたぬき)といふ
是等(これら)は
さらに世(よ)に害(がい)なけねどぬく〳〵饅頭(まんちう)と化(ばけ)て重兵(ぢうべ)ヱ(い)に犬(いぬ)の
屎(くそ)をつかませバツチヨ笠(かさ)に化(ばけ)て雨 夜(よ)に往来(ゆきゝ)を妨(さまたけ)るなぞ
害ありとこそいはめ八 畳敷(ちようしき)の睾丸(きんたま)は風説(うわさ)に聞(きけ)ども
実況(じつきやう)を見す長(なが)さ六尺の大狸(おほたぬき)は雑話(はなし)に
さへも聞(き)ざれども新聞紙上(しんぶんしじやう)に目(め)の前(まへ)に
見るソノ大狸を殺(ころ)せしは当三月の
廿八日東京第三大区二小区の〇
〇麹町(かうじまち)にて巡査(じゅんさ)なる原(はら)
正則(まさのり)といふ
人の見 廻(まわ)る
向(むか)ふにカノ
怪物(くわいふつ)ランプ
を置(おき)て伺(うかゞ)ひ
居(い)ればラン
フの傍(そば)に
歩(あゆ)み寄(よ)り
油を舐(なめ)ん
とする処
正則得たりと
官捧(くわんぼう)にてカノ大狸 打(うち)ころせり方今(いま)
世の中の野蛮(ばかなる)人狐狸を尊崇(そんそう)する惑(まどひ)を
解かんとこゝに画(ぐわ)すなり
《割書:文福社中の| 狸親父》九化野郎述【印】正情
【紙面左下】
彫九一
冨士政板