翻刻
しら菊(きく)の眼(め)に立(たて)て見(み)る塵(ちり)もなしと翁(おきな)が秀句(しうく)
せられしごとくさも美(うつく)しき其風情(そのふぜい) 時(とき)しも
頃は如月の廿九日の事(こと)なりし 山形県下(やまかたけんか)
旅篭(はたこ)町 廊宿(ろうしゆく)【?】柏屋(かしわや)茂八が家(いえ)に新庄(しんしやう)
在(さい)より泊(とま)り客ありて夜(よ)る二時頃(にじごろ)まで
物語して居(ゐ)たる折(おり)ふし障子(せうし)の外面(そとも)
よりさも艶(うるわ)しき声(こへ)
を出(いだ)し清吉(せいきち)さんと
呼者あり新庄(しんしやう)の
者は猟師(りやうし)にて清吉(せいきち)と
いふ者なれば其声(そのこへ)を聞(きく)
コハ人間(にんげん)ならず定(さだ)めて狐(こ)
狸(り)の業(わさ)ならんと彼障子(かのせうじ)
をわる【?】やいな娘(むすめ)と見(み)せし
古狐を煙管(きせる)を以(もつ)て打殺(うちころ)し
取死を庁(ちょう)へ出(いた)せしと
日々新聞
小信改二代
貞信画
綿政板
板元
塩町通四丁目
前田喜兵ヱ社中
彫工九一
略文長谷川徳太郎筆記