翻刻
日々新聞 第十四号
小信改二代
貞信画
綿政板
東京麻布宮川
町に久助といふ欲はり親父(おやし)
有(あ)りその娘におとみといへる
は親(はゝあ)にも似(に)ぬ心も顔(かほ)も
美(うつく)しきによき鳥をかけん
と芝(しば)の丸山へ茶店を出(いだ)せしが
親の心も白銀辺(しろがねへん)に寄留(きりう)せし
元ト(もと)山口 県(けん)の士族木田梅太郎といふ人今
巡査(しゆんさ)勤中折々【抈々?】の休暇(どんたく)に爰(こゝ)に来り茶を
呑しが縁(ゑん)となりいつしか濃茶(こいちや)の中となりしを
親父(おやし)は知(し)りてやかましく云(い)へは娘は死の
死(しな)ぬと古(ふる)い文句(もんく)に困果て
ぜひなく養子(ようし)に取(とり)な□□【なから?】
元よりこのまぬ婿なれ
ばり縁(ゑん)にされて梅太郎は
元の寄留(きりう)に帰(かへり)りしが娘も跡(あと)を慕ひて抜出一と先(まつ)長門へと△
△横(よこ)はまに
走(はし)りしか
先(さき)へ親父
は廻りいて
娘をこつちへ
かへせばよしと伴内
もどきの争(あらそ)へば終に
邏卒の眼(め)にとまり
双方説諭に娘は中々
聞入(きゝい)れぬも是(これ)爺(おやじ)の
欲(よく)の間違より
おこりし
ならんか
大水堂
猩昇誌