翻刻
【新聞社名欄の刷りなし】 小信改二代
貞信 画
冨士政板
錦長板
ほり重
世にふ具(ぐ)なる
を愁(うれ)ひ難病(なんびよう)
にかゝりたるを
遠(とほ)ざけ愛着(あいじやく)
を失(うしな)ふこと少なからづ人論に生れ
人りんたらんは素(もと)より天然(てんねん)の応授(さづけ)なりこゝに一話
あり生れつき粉芬(こうふん)を粧(よそ)ふ如く人にこへ色白くして
頭髪(かみのけ)赤くのびそろひたる一女あり親(おや)これをあやしみ
て年をかさねたるうち近所の料理亭(りようりや)へ酌(しやく)とりにつかはし
おきたるにある日此 亭(や)へさる異人(いじん)酒飯をもとめきたりすでに
一盃(いつこん)かたむくころ此婦人(ふじん)を見て是(これ)わが本国の
美女(ばつぐもの?)なりとその容貌(かたち)に見とるゝことやゝ
ありてたちまち妾(てかけ)にせまほしと親に乞(こ)へば
親はわが子の変生(へんしやう)なるを心になやめとも
すでに異人の望(のぞみ)にまかせ妾(しやう)とさため時の
活計(くはつけい)ほどけ女子(じよし)の生涯(せうがい) 安穏(あんおん)なるを得(へ)たり アゝ博 (ひろ)く世かいを見
れば捨(すつ)べき物やあらんかへつてふ具(ぐ)の幸(さいわ)ひあり世の人われを顧(かへりみ)ずして
人を謗(そし)り笑いやくにもたゝぬ放言(ほうげん)に其身をやぶりいわゆるあほうに銭もふけ
せられなどよくこゝろへねばあるへからずといさゝか勧善懲悪(くはんせんちようあく)の意(ゐ)をしめすに