翻刻
図会 第卅八号
呂太夫
昔から名高き大阪天満のはら〳〵薬の
元の主人は今は呂太夫とて浄瑠璃の
大 天窓(あたま)となり其女房は京人形と
混名(あだな)を得(ゑ)たる二十二三の美人(べつひん)なるが
何(いつ)の程(ほど)よりか其家にのらくらしたる
食客(いそうらう)と密通して居たる事を
呂印が嗅(かぎ)つけ何(いつ)の間(ま)に誂(あつら)へ
置しや或日一畳敷の大のし紙
持来るを其侭女房の背中(せなか)
に結ひつけ彼 寓公(いそうらう)を呼(よび)出し此
京人形を貴さまの玩物(をもちや)にやる
さかい何処(いづく)へなりとも持行けと
共に其家を追出しけると扨も
愉快(ゆくわい)なはら〳〵薬ならずやと
東京日々新聞にまで出たり
もろ人もかたり傳へてきゝつらん
扨もきれいな はら〳〵薬