翻刻
大阪錦画新話 第十二号
小信改二代
貞信画
森文蔵板
阿波文板
ホリトラ
兵部省の雇人足某は同省より円金五円を受取り
帰り其夜寐処の下へ入れ置き翌朝うちわすれ出張(しゆつてう)せしが
フト思ひ出し驚(おどろ)き家にかへりさがせども更(さら)になし此者の娘
七才なるにたづぬれば今朝五厘をひらひ菓子を
買ふたといふにつけ早そく菓子やにゆきしか
〴〵を語れば我も心つかず蕪(かぶら)をかふたといふに
又〳〵かふらやを爰(ここ)かしこと捜(さが)しよう〳〵
見あたり云々(しか〴〵)かたれば我も円金を受取
たる否(いな)やを知らずと財布を打あけ見
れば果(はた)して有りかぶらや大に
おどろき是 君(きみ)の所有(もの)なればと すみやかにかへし
五厘を呉(く)れといふ正直なるに感(かん)じ一朱をあたへて
是を謝(しゃ)す若(もし)この円金(かね)なくば蕪にあらぬ株(かぶ)
仕舞なれども円(まる)くおさまりたるもよく〳〵
五円の有金なりアヽ金銭は正直大切に致(いた)さねば
なりません
日々新聞
二百四十号出ル