翻刻
大阪錦画新話 第十号【横書き】
崔(さい)南といふ人の妻唐 婦人(ふじん)は其 姑(しうとめ)長村夫人は年老て
食事かなはざれば常に乳(ちゝ)をあたへて孝を尽(つく)せしは
世の人よく知るところなり是はそれには引かへて
東京北神保町七番地に嶌田政七と云人
の妻おつるは千年の齢(よはひ)もまたず明治
七年の頃 産(うみ)し女の子を忘れ匡(かたみ)に死したりしか
此家の老母(ばさま)は愁傷(かなしみ)にたへず孫を自(わ)が手で育(そだ)つるに
七十余旬の皺乳(しわちゝ)を孫に呑せ居たるに不思儀と
此ころ乳汁(ちゝ)発(いで)てはしるに孫は此 乳(ち)に肥満(ひまん)せるハナント
稀(まれ)な事ではありませんか 読売八十五号紙上に
詳なり
大水堂 森文蔵板 阿わ文板
狸 昇 誌 二代
貞 信 画