翻刻
大阪新聞錦画 《割書:第|三号》 小信改二代
貞 信 画
東京高井戸村辺に明治八年四月二十日ある家の七歳になる女の子が去年生(きよねんうま)れの
赤 児(ご)を守(も)りして夕方ひとり帰(かへ)り母は赤児を尋(たづね)しにおまへがいつもあんまり泣(ない)たら川へ
はめるといふ通り泣て仕(し)よふがないゆへに川へはめて戻(もど)つたと聞より母は気も狂乱(くるい)いそぎ川 辺(べ)へ
居て見れど最早(もはや)流れて知れぬゆへ内へかへり女の子を捕(とら)へさん〴〵せつかんせし所あたり所が
悪(わ)るかつて此子も死んで大 変(へん)となりしを母は思ふやう夫(をつと)の留主に申 訳(わけ)なしと又此母も
身を投(な)げて因果(いんぐは)は巡(めぐ)る一日に三人連れの死出(しで)の旅(たび)三 途(づ)の川の浅はかな事とうわさも
高井戸のあわれといへど愛着(あいじやく)の薄(うす)きことにてあらずや
子のあるおかたは耳をさらへ
よくおきゝと
読うり
八十八号に
歎(たん)ぜり 本 安 板
文花堂誌 本 為 板