翻刻
【右丁】
して汗を出すべしはしかの初めに汗ばむは順病也
一はしかは疱瘡にくらふれば太甚(はなはた)軽(かろ)きに似たり然共 養(よう)生(じやう)
護調(てあて)あしければ其 災(わざは)ひ立所に至る疱瘡は日数を経て
後に変(へん)じはしかは一両日の中(うち)に急(きう)に変(へん)ずるもの也必ず油(ゆ)断(だん)
すべからず第一に外より寒風にあたることを禁し内は飲食を
慎むへき也軽きは五十日を経て禁忌の物を止むべし重き
は七十五日又は百日も慎むべし麻疹(はしか)に好(よき)物(もの)禁(あひき)物(もの)は末(すへ)に委(くわ)く出_レ之
一麻疹軽くすんて日数の不_レ立内に風呂に入房事をなして急に
卒(そつ)中(ちう)風(ふう)の如くとりつめ死したる輩(ともから)先年享和の度 予(われ)多く
【左丁】
是を見たり男女此慎み尤大切也麻疹は軽き程後を慎むべし
一はしか出て三日も過ざるに風寒の外よりとちるる物は熱(ねつ)邪(じや)が内(ない)
䧟(こう)するか或は誤(あやまつ)て酸(すゝ)収(しめる)物(もの)を食(くう)こと有ば一日半日のうちに
はしか没(ひき)て周(そう)身(み)の煖(あたゝか)なる所に一向 紅(あか)き景色(けしき)なくは終(つい)に変(へん)
来りて危候をなすもの也もし没(ひく)こと早くとも肌膚(きふ)に煖(あたゝか)み
ありて没(ひか)ぬ所あらば急に表(ひやう)へ透(いだ)すことを需(もと)むべし都郎は
しかは日数すくなきものゆゑつい軽(かる)はつみの事も出来る物なれば
少しも様子加減違ふことあらば医師へよく託(たの)むべし〇核桃(くるみ)
を誤(あやま)り食ふとはしか早速 没(ひく)也是又 速(すみやか)に医を頼手当すべし