翻刻
【右丁】
気(き)候(こう)時(じ)運(うん)によるもの歟或は世(よ)并(なみ)よく始(し)終(じゆう)軽(かる)く順(しゆん)症(せう)なる
年(とし)あり或は初めは世(よ)并(なみ)能(よき)年(よし)も中(なか)比(ごろ)より世(よ)并(なみ)悪敷(あしく)なり
ひし〳〵危難(あやうきもの)多き年(とし)ありいかなる事に哉 考(かんが)ふべからず且(かつ)幼(よう)
雅(ち)の輩は多分 軽(かる)く大人(おとな)は重きもの多し是は全(まつた)く幼(よう)少(せう)の
ものは皮膚柔かにして発出も早きゆゑ也大人は皮膚(みのかわ)厚(あつ)
きゆゑに発出(てそろい)遅(おそ)きといふ説(せつ)あれとも夫にもよらぬ様也いづれ
にも順(じゆん)症(せう)なれば日(ひ)数(かづ)通より前(まへ)へいそぎ悪(あしき)症(せう)なれば日数より
後(おくる)るゝ也 予(よ)も数百人の痘(ほうそう)を見るに少(ことも)長(おとな)に限(かぎ)らず其 趣(おもむき)いろ〳〵
異(い)同(とう)多しゆへに初めよりむつかしく思ふならば良(よき)医(いしや)を撰(ゑら)び
【左丁】
て能々 託(たの)むべし必ずゆるかせにすべからず
痘(ほう)瘡(そう)の異(い)名(めう)
一 其(その)始(はじ)め赤(あか)き点(てん)を見て斑(はん)といひ一日二日に顆粒(つぶ)をなすを疱(ほう)瘡(そう)
といひ四五日に至り形ち豆(まめ)に似(に)たりとて痘(とう)瘡(そう)といふ又生れざる先の
天より受たるものとて天(てん)瘡(そう)といひ又天の気に感(かん)じて発(はつ)するとて天(てん)
花(くわ)といひ四(し)節(せつ)の期(き)正(たゞ)しきに変(へん)化(くわ)測(はかり)りかたきとて聖(せい)瘡(そう)といひ虜(りよ)国(こく)
より伝(でん)染(せん)したるとて虜(りよ)瘡(そう)といふ又豌(ゑん)豆(とう)瘡(そう)百(ひやく)歳(せい)瘡(そう)又和名謨(も)加(が)
沙(さ)又意(い)謨(も)といふ
痘瘡 戒(いましめ)の事