翻刻
潤(うるほ)ひ出(いで)て二本(にほん)の指(ゆび)の。苦(く)もなくはいれば玉中(ぎよくちう)を。上(うへ)を下(した)へといろひ給ふに。小曽女(こそめ)は今更(いまさら)は
づかしさに。顋(おとがひ)えりにさし入(い)れて。物(もの)をもいはず居(ゐ)るほどに。吉光(よしみつ)頻(しきり)に指先(ゆびさき)を。奥(おく)へつきいれ
また口元(くちもと)へ。引出(ひきいだ)して紅舌(さね)のあたりを。くる〳〵捻(ひね)れば何(なに)となう。快(こゝろ)よく覚(おぼ)えツゝ。ずる〳〵精水(きみづ)を
出(いだ)すほどに。吉光(よしみつ)今(いま)は折(おり)よしと。前(まへ)をまくり内股(うちもゝ)を。左右(さいう)へ広(ひろ)げて一物(いちもつ)を。あてがひて小(こ)
刻(きざみ)に。腰(こし)をつかへど了得(さすが)は新開(あらばち)。少(すこ)しきしみて入(いり)かぬれば。唾(つばき)をどつしり塗(ぬり)つけて。また
あてがひつちよこ〳〵と。突(つけ)ばたちまちずる〳〵と。這回(こたび)は苦(く)もなく根(ね)まてはいる。当下(そのとき)小曽女(こそめ)の
顔(かほ)をみるに。たゞ眼(め)をねぶり歯(は)をかみしめ。上気(じやうき)なしてや鼻(はな)つまらせ。スウ〳〵〳〵といふほどに。吉光(よしみつ)は
しつかと抱(いだ)き。二三十 遍(へん)つき立(たつ)るに。その開中(かいちう)のしまりよさ。快(こゝろ)よき事 喩(たと)へんかたなく。竟(つゐ)じろ〳〵
精(き)をやり給へど。小曽女(こそめ)は始終(しじう)男(おとこ)の脊中(せなか)へ。手(て)はまはせどもしめもせず。精(き)をやつたるやらやらぬ
やら。夫(それ)さへわからぬ新契(にいちぎり)。たゞわく〳〵と胸(むね)をとる。是(これ)そ恍惚子(おぼこ)の情(じやう)なるべし
第十 惚薬(ほれぐすり)のまき
かゝる折(おり)から穴沢佐栗(あなさはさぐり)。ゆう〳〵君(きみ)の御 行方(ゆくゑ)を索(たづ)ねあてゝこゝへ来(きた)り。吉光(よしみつ)君(きみ)の耳(みゝ)に口(くち)。うち