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コレクション: 春画資料

BnF. Département des manuscrits. Japonais 210 (3) - 翻刻

BnF. Département des manuscrits. Japonais 210 (3) - ページ 29

ページ: 29

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御 庭口(にはくち)なる。詰所(つめしよ)へ往(ゆき)て一休(ひとやす)と。折戸(をりど)ひらきて樹立(こだち)の間(ひま)。あゆむ処(ところ)に粲然(ちら〳〵)と。火影(ほかげ)に怪(あや)しみ 燈灯(ちやうちん)を。弗(ふつ)とふき滅(け)し身(み)を潜(ひそ)め。窺(うかゞ)ひみれば吉光(よしみつ)が。寵愛(ちやうあい)深(ふか)き側室(そばめ)の桃代(もゝよ)。髪(かみ)をさば きて白打扮(しろでたち)。金輪(かなわ)にたてし蝋燭(らふそく)の。風(かぜ)のまに〳〵晃(きら)めくは。嗔意(しんい)の炎(ほむら)としられたり。傍(かたへ)に。 居(ゐ)るは岩井蔀(いはゐしとみ)。手(て)を捕(とら)へて物(もの)いふ風情(ふぜう)。何(なに)さま怪(あや)しと樹(こ)がくれて。それが動静(やうす)を伺(うかゝ)へは 蔀(しとみ)は桃代(もゝよ)が顔(かほ)をみあげて〽感得院(かんとくゐん)の修験(しゆげん)を恃(たの)んで。音勢(おとせ)を呪咀(のろふ)といふ事は。定(たし)かに聞(きい) たも嘘(うそ)ならず。音勢(おとせ)がこの頃(ごろ)ぶら〳〵病(やまひ)。医師(いし)よ祈祷(きとう)と御所(ごしよ)さまには。ありとあらゆる 御心配(おこゝろづかひ)。その病根(びやうこん)はおまへの所為(しわざ)。たとへ音勢(おとせ)に寵愛(ちやうあい)を。みかへられうとこれも時節(じせつ)。僻(ひが)むは 女子(おなご)の常(つね)とはいへ。大恩(だいおん)うけし君(きみ)が心(こゝろ)を。悩(なや)ます淫婦(いんふ)をみたは僥倖(さいはひ)。サア引縛(ひつくゝ)して庁所(やくしよ)へ拽(ひか)ふと。 いふに桃代(もゝよ)は抱(いだ)きつき〽お前(まへ)も余(あん)まり情(なさけ)ない。先頃(いつぞや)からして贈(おく)られた。文玉章(ふみたまづさ)もこゝにある。色(いろ)よい 返辞(へんじ)をしないのが。お気(き)にいらぬか知(し)らないが。その頃(ころ)は吾君(わがきみ)の。寵愛(ちやうあい)もまた他(ほか)ならず。夫(それ)を 忘(わす)れて他心(あだこゝろ)を。出(だ)しては済(すま)ぬと強面(つれなく)したも。吾儕(わたし)ばかりかお前(まへ)の身(み)をも。大事(だいじ)におもふ蔭(かげ)の深(しん) 実(じつ)。憎(にく)い女(をんな)とお恨(うら)みは。却(かへつ)てお前(まへ)の了張(れうけん)ちがひ。それは過(すぎ)にし昔(むかし)のこと。今(いま)は音勢(おとせ)にみかへられ有(ある)に