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コレクション: 春画資料

BnF. Département des manuscrits. Japonais 210 (1) - 翻刻

BnF. Département des manuscrits. Japonais 210 (1) - ページ 36

ページ: 36

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浅香(あさか)は恟(びつく)りかの侍(さふらひ)が傍(そば)へゆきて声(こゑ)を低(ひそ)め《割書:浅|》〽何方(となた)さまでございますか御門(おかど) 違(ちがひ)を。遊(あそ)ばしたのではござりませぬかト訝(いぶか)りとへば点頭(うなづく)侍(さふらひ)〽其方(そなた)が浅香(あさか)どのに 相違(さうゐ)なくは。門違(かとちがひ)ではない彼(あの)お方(かた)は。辱(かたじけ)なくも。室町(むろまち)の吉光(よしみつ)さま。近曽(ちかごろ)お手医師(ていし) 順庵(じゆんあん)から。言(まう)し入(い)れた女児御(むすめご)音勢(おとせ)。頓(とう)にお迎(むか)へあるべき処(ところ)。順菴(じゆんあん)老(らう)が病気(ひやうき)ゆゑ 遲(おそ)くなつたをおまちかね。お忍(しの)ひでと御仰(おつしやる)から。御供(おとも)いたした在下(それがし)は。穴沢佐栗(あなさはさぐり)と 申すもの。心当(こゝろあた)りがござらうがな《割書:浅|》〽ハイ夫(それ)ならば覚(おぼ)えのあること。アゝ生憎(あやにく)に女児(むすめ)は 留守(るす)。女子(をなご)どもと私(わたくし)ばかりトいふを佐栗(さくり)が〽イヤこれお袋(ふくろ)。決(けつ)して心配(しんぱい)はいらぬ事 御 茶(ちや)弁当(べんたう)の准備(ようい)もあり。御供(おとも)の衆(しう)は銘々(めい〳〵)割籠(わりご)。茶(ちや)なり湯(ゆ)なりあればよし。 座敷(ざしき)には炉(ろ)もみえる。釜(かま)もかけてある容子(やうす)御 茶(ちや)一服(いつぷく)献(けん)じれば。跡(あと)はわれらがよい 様(やう)に。斗(はか)らふは宜(よ)けれども。肝心(かんじん)の女児御(むすめご)が留守(るす)とはハテサテ間(ま)の悪(わる)さしかしその内(うち) には帰(かへ)りもあらうサア〳〵早(はや)うお茶(ちや)〳〵ト急立(せきたて)られて夢(ゆめ)にだも思(おも)ひがけなき 貴人(あてびと)の暴(にはか)の御入(おいり)に気(き)もわく〳〵納戸(なんど)へ入(い)りて手(て)ばやくも脱(ぬい)で着(き)かへる晴着(はれぎ)