翻刻!草双紙の世界

コレクション: @chinjuさんと読む草双紙

鬼娘伝 - 翻刻

鬼娘伝 - ページ 14

ページ: 14

翻刻

ちぎりき草(そう)。東(ひがし)は奥州(をうしう)土平(どへい)が飴(あめ)。南(みなみ)は なんばんとうがらし。北(きた)は朝鮮(てうせん)すうけいし 山葵(わさび)おろしの黒焼(くろやき)まで。飲(の)んだり 付(つけ)たり。くすぐつたり。薬(くすり)におろかは なけれども。次第(しだい)〳〵にかたまりて はや十月(とつき)にも満(みち)たれば。覚悟(かくご)極(きはめ)て 村(むら)はづれの。井戸(いど)へ立(たち)より。じゆばんの 片袖(かたそで)おし切(きつ)て  〽すへまでのかたみに残(のこ)す片袖(かたそで)は    せめてそらいをたのむばかりぞ とあつかましくも書(かき)残(のこ)し。真逆様(まつさかさま)に 飛(とび)こめば。ふしぎやな井戸(いど)の底(そこ)に拍子木(ひやうしぎ) の音(をと)かち〳〵と聞(きこ)へてくるりと回(まは)ると 覚(おぼ)へしが。向(むか)ふをみれば大なる鉄(てつ)の楼門(らうもん)