翻刻
打(うて)ど擲(たゝけ)ど死(しな)ばこそ。火を燃(かけ)ても
みぢんも。とろけず。いつその事に
池(いけ)へでも沈(しづめ)んとおもひしが。いや〳〵
こんな珍(めづら)しい物を。捨(すて)るもどふやら
おしい物(もの)。幸(さいわゐ)江戸に善光寺(ぜんくわうじ)如来(によらい)
の御開帳(をかいてう)。両国(りやうごく)へ見せ物に出(だ)したらば
一(い)ッ(つ)鹿(かど)の銭(ぜに)もふけ。一ツは罪障(ざいしやう)消滅(せうめつ)
の為にもと。慾(よく)と恩愛(をんあい)。身の上の
慶(わざ)【?】に引れて。善光寺参り鬼の
目にも阿弥陀。ねらい澄(すま)した大当
鬼娘が御評判(ごひやうばん)〳〵
〽極楽(ごくらく)へ両国からの船廻し
地獄(ぢごく)は隙(ひま)で鬼は見せ物