翻刻!地震・災害史料

コレクション: NDL地震・火山

信州大地震之記 - 翻刻

信州大地震之記 - ページ 45

ページ: 45

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穴より又さくりたるに人ハ求得ず当る所の荷物を取出し たり向ふの処より一人の男襦袢一枚にて出来たり誰そと 声懸れハ三州の人なりこれハ九人の同勢の処私一人のかれ 出たるよしを云みらハ諸共此所を立のかんとそれより 打つれて三人となり其夜ハ近辺の山とやらんにて明せし となり扨暁になるを待て其処を立出名古屋を通り日名之 玉屋町近江屋と云に宿せし也其時彼地の様体を物語 せしとそ 御城下にて信州変異の知れたる初発には ありけれこの物語により絵図を板行し売りありく  此河内屋某ハ一人の連ハ失ひつれとも幸に荷物を得たる故  衣服路銀の類ひに手支せず三河の者にも衣服を与へ路ハ  廻れとも一所に名古屋へかゝり給へ路用ハ参りすへし  とて当所へ悦ひ来れり三河の者多くの同勢を失  けれハしはしの休息をも急せて急きにいそき国許  へ帰りしなり 右者近江屋の咄 此変事無キ前善光寺開帳のた建札故なくして倒ル故に 又起し建たるにその夜亦倒れぬ人々不審したるよし  右ハこ此事の已前信州松本の藩士当国古儀東輪寺へ来  りしことあり其時の物語のよし 一この折ふし片髪こげて襦袢のやらの物を着し押切の街  を通行せしを或ハその故を尋しかハ信州にて大難に遭ひ  同行をも失ひ身もかかる体なるよしいひ落涙せしと也