翻刻!地震・災害史料

コレクション: NDL地震・火山

信州大地震之記 - 翻刻

信州大地震之記 - ページ 46

ページ: 46

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一門前町にて波嘉といふ人戌亥屋某銘々弐三人連にて  参詣し此変にあふたれとも辛して免かれ帰る 一新川七本松の者町家相応身柄の人の宰領に頼まれ  参りたる処荷物路銀不残焼失主人初頼人を松本て  留め置夜を日に継て馳かへり路用なんと調へ直に取て  かえし向ひに走りし由 一長者町皆御村頼立斎彼夜にあひ身ハのかれたるをハ  当地にてハ死亡せしといひしか無恙よし音信あり 一上京の人ありて話に其日地震ハあれとも知らざる者も有とぞ 一駿河町の辺脇部広吉か母同勢三四人にて参詣し廿四日  夜彼地へ着く同伴の人は本堂に過夜せしに広吉母と  宿坊に泊り既に床に臥したる比大地鳴動しこハ地震と  思ふや否はや家居倒れりつれとも怪我ハせさりしかど  驚き周章たゝくらき所をさぐりまはしからうして木の  破れたる所より先首はかりハ出されとも体の出兼たるを兎  角して這ひ出たれハ屋根の上也くらさハ暗し婦人のこと也  踏も習ハぬ萱屋のうへを伏して横につたいたる程に瓦の端  の処に至りたれハ材木を結たる所あり是へ乗移りてやうやう  と地へ下り立たり供の男も同しく続て出たるか屈竟にて  瓦の上を走るにざくざくと瓦の落る音して辷り落たり男  ふたりといふ声に怪我せしならんと母は思ひしに溝の中へか落  あやまちせす助りけるとそ母ハ本堂迄ほどある道をころび