翻刻
お嬢(ぢやう)さまがお否(いや)になり外(ほか)に倍花(ますはな)出来(でき)ませしやと年増(としま)のいちごん
と胸(むね)つけどもまさか途中(とちう)で咄(はな)しも出来(でき)ず是(これ)にハ子細(しさい)の有(ある)ことなれバ
此方(こなた)へ来(こ)よと或酒店(あるちやヽ)の奥(おく)まりたる二階(にかい)へ連行(つれゆ)き何(なに)か酒肴(しゆかう)の注文(ちうもん)
なし《割書:九》〽まア〳〵一盃(いつぱい)呑(のミ)なせへ女中(ぢよちう)もおかしく思(おも)ふだらうがこれにハ
いろ〳〵訳(わけ)あること私(わた)しもむねがどき〳〵して言(い)つたが冝(よ)かろかいふ
まいかと実(じつ)にからだが震(ふる)へるやうだよ《割書:杉》〽なに貴君(あなた)一旦(いつたん)御祝言(ごしうげん)を遊(あそ)
バした金粕(きんぱく)【金箔?】の付(つい)た御新造様(ごしんぞうさま)の此御嬢様(このおぢやうさま)お陰(かく)し遊(あそ)バす事(こと)ハございませんじ
ゃァございませんか倘(もし)正実(ほんとう)を被仰(おつしやら)ないと旦那様(だんなさま)へいつ付(つけ)て【言っつけて?】助兵衛(すけべゑ)どんを