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後(うし)ろを見送(ミおく)る九次郎(くじらう)おさせが側(そバ)へそつとより《割書:九》〽コウおさせさん私(わた)しが
彼処(あすこ)を出(で)る時(とき)ハ実(じつ)に天竺浪人(てんぢくらうにん)【逐電浪人。やどなし】だが左様成(さうなつ)ちやァお前(まへ)の内(うち)の老翁(おとつさん)や
義母(おつかさん)が私(わた)しを聟(むこ)にやァよもや為(し)めへ《割書:させ|子》〽もし左様成(さうなつ)たらお前(まへ)さんに連(つれ)
られて何処(どこ)へでも迯(にげ)てお貰(もら)ひァますハ《割書:九》〽実(じつ)にそんなら嬉(うれ)【女㐂】しいよト言(い)ひ
つヽ横(よこ)に押(おし)こかせバ《割書:させ》〽お杉(すぎ)が来(く)るといけませんよ《割書:九》〽何来(なにく)るとことァねへのだョ
まァじつとしてお居(いで)なせへとぐつとまくつて割込(わりこめ)バ恥(はづ)かしさうに袖(そで)で
顔(かほ)かくしながらも早(はや)く為(し)てと言(い)ハぬ計(ばか)りの面持(おもゝち)ハ玉門(ぼヽ)の縁(ふち)から実頭(さねがしら)の
しこりに言(い)ハずと知(し)られたり九次郎(くじらう)ハ早(はや)たまらずつばきたつぷり