翻刻
【右丁】
化粧(けわひ)
坂(さか)の
花街(くるわ)
【女】丸に亀
【男】丸に五
出口柳
【本文】
今はむかしかまくらはんえいのころ世の中だてといふものおこなはれし
中にうづら権兵衛とて無類のはやわざ大力のものありけりかんにん
つよくなさけふかきうまれつきゆゑぎりをみがきはぢをしる男気を
かんじて人みなほめざるはなかりきこゝに又よりとも公ばつかの侍臣(じしん)に
大場(おほば)の三郎がおいの殿ときこえし頼光源治(よりみつげんぢ)左衛門 秀虎(ひでとら)と
いふものありかれも男達とせうして別にひとくみをあづかり頼光(らいくわう)
ぐみとよべり此組にかしららだちしものを四人すぐりて四天王になぞらへ
その名を金時(きんとき)金左衛門 渡辺綱(わたなべつな)五郎 末武季(すへたけすへ)九郎 貞光定(さだみつさだ)八郎
ひとりむしや保昌やす兵衛なんどつねにまち〳〵を
わうぎやうしてさま〴〵のわづ【がヵ】ままをふる
まいぬそのころ扇がやつのぢうにん篠目(さゝめ)
の八郎がちやくし同五郎 有国(ありくに)といふわか
ものけはひ坂のいうくん亀ごぜんにふかく
なれむつみてよるひるとなくかよひつめたがい
に水もらさじとぞ
ちぎりけるしかる
に此かめごぜんに
はよりみつ源治
左衛門ふかく▲
▲れんぼしておなじくくるわ
へかよへども心にしたが
はざりければあるよひそ
かに四天王のもの
どもをまちぶせ
さしめ篠目(ささめ)の
五郎が
もどり
みちを
さへぎり
てやみうちに
せんとたくみ
しをはやく
もかめ
ごぜんが●
〽うづら権兵へ
ちゝつくわいちつと
こうくわいひろぐで
あんべい
【左丁】
〽なぶれ〳〵
あのやらうを
なぶれ
〽
「マアい〳〵
よわい金時
赤夲のあか
はぢかいた
ざまを見ろ
よわむし〳〵
〽がきめら
おぼえて
うせろ此
金時が
どうするか
見をれ
●もとへしらする
ものありければさゝめ
の五郎大きにおどろきいま
此所にて身をすつるはやすけれどもばしよ
あしければいへだんぜつせんことをふかく
なげき思ひしをかのうづら権兵へ
きくよりもかねてゐこんある
らいくわうぐみのやつばらひと
こぶしあてゝくれんわれにまかせ給へ
とてさゝ目の八郎があみがさを
かりてわがすがたをやつし出口の
やなぎにちかよる所をかくとは
しらで五人のわかもの前後より
とりかこみ五郎やらじときりつくる
をさしつたりと身をかはし五人を
あいてに無刀(むとう)のはたらきかたなを
うばひてむねうちにたゝきふせさては
なんぢららいくわうぐみのほねなし
どもよなうづら権兵へに何ゐしゆ
ありてかくらうぜきひろぐぞと大
おんによばゝれば五人此こゑにおどろきて
うづら権兵へとはしらざりし人ちがへ「つぎにつゞく」
〽なむさん
きんとき
ゆでさら■
しほが■だ
たでるらい
め見たか
ヱゝ
むねんな
【中央の人物】丸に権
【左下の人物】丸に金
【左上の人物】丸に金