翻刻!江戸の医療と養生

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八ツ目鱣因縁物語 3巻 - 翻刻

八ツ目鱣因縁物語 3巻 - ページ 22

ページ: 22

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【右丁】 【欄外】 うづら権兵へ 【男】丸に八 【女】丸に雪 【上段】 「つづき」ゆるされよとほえづらしてにげちつたり金時金左衛門は 大兵ひまんのからだゆえ身おもくして一人あとにをくれしを うしろよりかいつかんであたりのどろ田へ三げんばかりなげこんで はなうたうたふてあゆみゆく権兵へがはたらき天ぐに ひとしきふるまひと見る人したをふるひけりかくて 金時金左衛門は五たいをどろにうづまれてやう〳〵にはひ あがり惣身くろんぼうのごとくにてよろ〳〵とゐざり ゆくを見て日ごろのにくしみふるければわうらいの 人つぶてをうちつけさん〴〵にはやしたてければ金時 はふくにげかへるめんぼくもなきありさまなり これよりのちらいくわう組のものどもうづら 権兵へをかたきとなしてにくみけり ○こゝにさゝ目の八郎 有秀(ありひで)はちやく子(し)五郎 有国にいへをゆづりいんきよしてありしが娘 お雪といふものよわ〳〵しきうまれつきにて つねに多病(たひやう)なりければ八郎がおいの心に くらうたえず湯治(とうじ)などさせたらば 又こゝろよき事もやとすでにようい して伊豆の国へと心ざしぬ八郎 いんきよの身とはいへども他こく するには物がしらへねがふべきはづ なるがさありてはかれこれ事むづかしき ゆゑ娘一人をつれてしのびの道中 つひえをいとひまづ湯宿を とりてひとまはりの日をおくりぬ しかるに此となりの部(へ)やに てよしゆくするわかもの六人 いづれも武士と見えたるがはなはだ さつばつなるものどもにてちうやわが まゝをふるまひぼうぢやくぶじんのあり さまなりかの武士お雪があてやかなる すがたをかいまみてよりわれしたがへん 【左丁上段に続く】 【中段左】 〽せんばんきのどくに ぞんじまする ▼▲しんきをつからし娘がうつき をはらさんため湯治へともなひ かへつてわづらひのたねとなりしを くやみて今はさて 【左丁中段へ】 【下段】 ▲おどし つすかしつ さま〴〵らう ぜきにおよびし が此事父につぐる ときはおいのいつ てつにいかりをおとし かの武士どもとけん くわにおよばゝ大 事也とあけくれ 心むすぼれて ひごろのやまひ なほいやまさる おもひなり 八郎もひそ かに此ていを見て▼▲ 【左丁】 【上段】 われなびけんとたがひにいろをあらそひて 八郎がへやへ心やすく入来りなにがなして お雪を手にいれんとはからひしが八郎 もとより心をゆるさずお雪もあら くれし武士をおそれてひたすらにとほ ざからんことを思ひ はかりいかやうに すゝむるともかれらが へやにはゆかざりけり ○さればわかものども さま〴〵にてだてをつく せども八郎おや子 うちとけざれば湯の わうらいにお雪を とらへてむたいを いひかけ▲ 【中段】 すこしもはやく帰こく せんとぞ思ひ立ける 〽しからば いかていに 申ても金 子しやく用は ならぬじやまで ハテどういた さう ぜひがござらぬ 【男】丸に濵