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【右丁】
り粧(よそふ)うの趣意(りゆい)には非(あ)らず居屋(すまいや)は寒暑風雨(かんしよふうう)
を防(ふせ)ぐの備(そな)ゑなれば美(び)を尽(つく)し善(せん)を極(きは)むる
の錺(かざ)り物(もの)には非(あら)ざるなり蓋(けだ)し往昔(むかし)開(ひら)けざ
るの時(とき)に於(をい)ては唯(た)だ寒暑風雨(かんしよふうう)を凌(しのぐ)ものと
為(なせ)しも近来(ちかごろ)医学(いがく)の駸歩(すゝむ)に随(したが)うて居屋(すまいや)も亦(また)
大(をふ)ひに身体(からだ)の健康(けんこふ)に拘(かゝ)わることを発明(はつめい)せ
り故(ゆゑ)に居屋(すまいや)の建築(ふしん)は甚(はなは)だ大切(たいせつ)なるものな
れば能(よ)く心(こころ)を用(もち)ゆべし建築(ふしん)の法(ほふ)は種々(さま〳〵)あ
【左丁】
れとも衛生学(ゑいせいがく)より論(はな)すときは唯(た)だ空気(くうき)の
流通(かよい)に便利(べんり)なるを以(もつ)て第一(たいいち)の目的(めど)とす然(さ)
りながら是等(これら)の事件(ことがら)を細(こま)やかに述(のぶ)るとき
は大(をふ)ひに煩雑(はんさつ)なれば唯(たゞ)居屋(すまいや)を清潔(きよら)かにす
るの法方(しかた)のみを記(しる)すべし都(すべ)て居屋(すまいや)を清潔(きよら)
かにするには朝夕(あさゆふ)室内(しつない)を洒掃(さいそふ)して少許(すこし)も
不浄(ふじよふ)なる塵(ちり)を留(とゝ)むべから若(もし)屋敷(やしき)の周囲(まわり)に
泥溝(どろみぞ)或(ある)いは塵潴(ちりため)などあるときは時(とき)々之(これ)を
八